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「Study:大阪関西国際芸術際・2022」
「 採集 」
船場の植物や自然物を集めてみる試み
はじめに、エントランスに植物を生ける機会を頂き 船場エクセルビル周辺の街を案内して下さいました 。「この周辺には公園がひとつしかない」と、まず久宝公園へ向いながら言われた事が印象的でした。それから丼池通り(どぶいけどおり)の街並み、中央大通りの銀杏並木、船場センタービルを北船場方面へ抜けて、三休橋筋のセンダンの並木道を歩きました。さて、生け込みをどうするか考えてみると、山中で豊かに育った木をダイナミックに生けるよりも、船場のこの街に土と水と光を探してそれなりになじんでいる植物や自然物を、目を凝らして集めてみる事が有意義なものになるのではないかと思いました。日常の足元の一輪に風景を託す、生け花のように。行き交う人々と車、建物、アスファルトが占める環境で生息する植物は限られた条件下で存在感を放っていました。 約70センチ四方の中に立つ街路樹。その足元をおそらく犬やカラスにほじくられむき出しの土。アスファルトの隙間から生える小さな草や苔。丼池筋の低く刈り込まれた山茶花。 10メートルを超える大通りや公園の大木。ビルとゴミ置き場の隙間に植え込まれたサツキは、微かな光で育っていました。歩道の垣根には冬枯れの雑草が絡まり、掻き出すと犬の排便の欠片が混ざって異臭を放ちました。道路脇で吐かれた痰の横に散らばっていた、白くてきれいな石ころ。または、こまめに清掃維持され雑草のない区画。生息動物や環境と自然は深く影響をし合っていて、まるで森林限界の高山植物のようにたくましく見えま した。これは、それらの船場の植物や自然物を集めてみる試みです。この度、植物の採集にあたって所有敷地内や地元の方で管理されている通りでの活動をお許し下さり ご協力頂きました辰野様、厚く感謝致します。
(創作過程)
街周辺を歩き草や植物、石ころや砂などの自然物を探す。
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各所の植物や要素を少し摘み取り、採集する。
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船場エクセルビルのエントランス内に持ち込み、植物を触ってみる。
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並べる、生ける、丸めるなど、採集した自然物で即興的に創作、配置する試み。
採集協力・敷地内提供:辰野株式会社
大阪関西国際芸術祭organizer:ARTLOGUE
撮影:若林美智子
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